“Oh! Furoshiki Exhibition” / 『大風呂敷展』で最新グラフィックを。

渋谷西武で開催されていた『大風呂敷展』

TOKYO DESIGNERS WEEK 2014の一環として行われているこちらの展示は、今年4月、世界最大のデザインイベント・ミラノサローネで開催された「大風呂敷展」が凱旋開催されたもの。

ミラノサローネは約50年前から一年に一度開催されている「ミラノ国際家具見本市」の通称。
世界最大規模の家具見本市です。

東京ビッグサイトの全館展示面積が約8万㎡なのに比べ、展示面積は約21万㎡と壮大!
その規模感がうかがえます。

また、メインイベントのほかに、ミラノ市内に点在する数百もの家具、インテリア、照明、サニタリー等のショールーム、ギャラリーが一斉にイベントを行っており、バイヤーやプレスなど専門家だけでなく、一般のコンシューマーも楽しめる、刺激的なイベントになっているようです。

そして、ミラノサローネはいまや、若手デザイナーやユニークで意欲的なデザイナーの登竜門的存在となっているのです。

さて。

ミラノのあと、ロンドンなど世界の主要デザインイベントを巡回してきた「大風呂敷展」が、半年かけて生まれ故郷の日本に戻ってきたわけです。

日本にむかしからある風呂敷の"包む"という文化が、トップクリエイターが描く大風呂敷で新しい顔を見せてくれます。


風呂敷はこのところ「エコ」・「もったいない文化」の文脈で注目されているアイテム。

ただ今回の展示の意図は、それをなぞるだけでなく、風呂敷を通して日本のグラフィック力を表現する企画展として考えられたとのことでした。

たしかに、いろいろなジャンルのトップクリエイターが参加していて、見ごたえ抜群でした。

風呂敷とその使い方の展示のバランスがいい感じ。


90x90cm の風呂敷たち。まるで絵画のよう。

赤と白のデザインは佐藤可士和さんの作品。

奥にあるカラフルなのはファンタジスタ歌麿呂さんの作品。

カラフルで、いわゆる“KAWAII” デザインのファンタジスタ歌麿呂さんや、増田セバスチャンさんの作品もあれば、東京をちょっと風刺したような作品も。

田中靖夫さんの「渦」はドクロがぐるぐるしていて、ちょっと病的な感じがポップでした。

奥下和彦さんの「サラリーマン侍」も、外国人の日本観、という感じ。

Jun Osonさんの「東京人」には元AKBのあっちゃん?のような女の子が。

佐藤可士和さん、廣川玉枝さん(ソマルタ)らの作品とともに、今回特別に販売もされていたチームラボの作品もありました。

デジタルアート作品、「秩序がなくともピースは成り立つ」と同様のイメージです。

「踊る」



ヨーク見ると、ひとりひとり踊っている。


西武渋谷店A館7階 特設会場
東京都渋谷区宇田川町21-1
入場無料

佐藤可士和さん、廣川玉枝さん、チームラボの大風呂敷は購入可能!
サイズ:90 × 90cm
素材:綿100%
価格:各7344円


■TOKYO DESIGNERS WEEK 公式サイト


これを機に、風呂敷についてちょっと調べてみました。

紙袋が普及しだした、昭和40年代(1970年前後)から段々衰退の途を辿ったようですが、それでも高度成長期1960年代はどの家庭にも10枚~20枚はあったそうです。

また、風呂敷と聞くと日本だけの文化だと思いがちですが、“物を包むという布” の文化は、韓国や中国からシリア、トルコに至るアジア一帯と、アフリカ、欧州、そして中南米まで、世界中に広がっているようです。

使い方も包む以外に、掛けたり、敷いたり、被ったりと、とても多彩です。

そして本来の目的の包むという対象物も、日用品や食品にとどまらず、赤ちゃんや経典、インドネシアでは、なんと亡くなった人を包む習慣もあるといいます。

日本では8世紀の世界最古と伝わる風呂敷が正倉院に展示されているようです。

「風呂敷」という名前は、室町時代、風呂屋で湯上りに敷き、その上で休んだり着替えた事から付いたとされています。

ところで「包む」という言葉の語源は、「つつましい」と同じだそうで、とても驚きました。

語源由来を辿ると「むき出しの心を包み込んで覆う」という意味になるようです。

外来品をうまくローカライズするのは古来から日本人の得意分野。
いつもそこに「日本らしい」味付けをするわけですが、風呂敷においては日本独特の美意識、思いやり、そういった “こころ” の文化を感じるますね。

サローネでどこまで伝わったかわかりませんが、日本のこころ、「つつましさ」も発信する面白い展示になっていると思います。

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